the uncompleted legend
THE KEY

あとがき

あとがきなんて書くと、言い訳ばっかりになってしまいます。
 
もっと筆力があってから書けば、それぞれをもっと深く描いてやれたのになぁ。と思います。しかし、これを書いたからこそ勉強できたわけで。結局、にわとりと卵の問題みたいになってしまうわけですな。


終始一貫したテーマは『守るということ』『恐怖』そして『伝説』。

伝説というものは今までそれが前提となった物語が多かったように思います。なんたらという伝説があって、ペケペケを護るためにそれを苦難の末にどうこうする。
ともかく、答えがあってそこに向かう伝説にはしたくなかった。
 
本来、人というものはそれほど先の見える道を与えられるものではないというのが不二の通説です。よくレールを敷かれた人生といいますが、それだってどうだか。電車だって脱線するのです。
故に始まりの鍵。この伝説は未完で出発させました。
 
そして未知ゆえに生まれる恐怖。
「守る」ということと「恐怖」というものは、連動しているように思います。おそらく守るものがなければ人間は恐怖を感じないのだとも。
 
パラドキシカルであり、また先のにわとりと卵ですが、現実の世界を見ても世界は常に何かの恐怖から何かを守るために動いているのではないか、と感じることがしばしばあります。
或いは何かを守りたいがゆえに恐怖を持ち、外に威嚇するのだと。(恐怖と守ること、どちらが先なのかが上記の所以です)
 
民族のアイデンティティを脅かされる恐怖、覇権を取られる恐怖、自らの信じるものを否定される恐怖、カウンターを受ける恐怖……。


なんて大それたことを考えたわりには、筆力及ばず。
しかし、レベッカ、シャロン、フェンネル、ハイネス、レオリオを筆頭に、彼らが皆様の中で少しでも存在を示していたならば、嬉しい限りでございます。
 
そうそう。
本当のエピローグがあるのです。お気づきの方もいるでしょうが、既出の短編「風の吹く街」。
読んでくだされば幸いです。
 
 
 
不二 香





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