レーテルの修学旅行
宿題が出された。
修学旅行の行き先案を練ってくること。
レーテル魔導学校では、魔導師がレーテルにばかりこもって見識が狭くなるのを防ぐため、二年に一度修学旅行があるのだ。
─お昼の学食─
魔境だの秘境だの深海だの北限だのつぶやいているレベッカを押し退けて、ネーベル=ケルトリアは先客のいたテーブルにカレーの皿を置いた。
「シャロン会長やフェンネル会長はどこへ行かれたんでしたっけ?」
目の前には、昨年修学旅行に行っただろう黒衣の男二人が、仲良く白身魚のフライをつついている。
泣く子も黙る、メディシスタ会長シャロン=ストーンとチェンバース会長フェンネル=バレリー。
「昨年行かれたんですよね? 修学旅行」
二人の男は特に表情も変えず、異口同音に答えてきた。
『王都』
Σ ( ̄ロ ̄lll)
「良かったよなァ。頼んだら城の中まで見せてくれたしなァ」
「頼んだら宮廷魔導師の実践演習まで見せてくれたな」
「自由行動駆使して街の造りも覚えられたしなァ」
「質問にも丁寧に答えてくれたしな」
(乗り込んだ! 乗り込んだんだ! この人たち!)
ネーベルが口端をひきつらせていると、横からフッフッフッフと不穏な声がした。
「王都。いいわね」
レベッカ=ジェラルディ。
──行き先は決まった。
THE END
Menu
Home
Copyright(C)2007-2008
Fuji-Kaori all rights reserved.
|