冷笑主義 登場人物
<ネタバレ編>


【暗黒都市 
Vice Splendeur

■ 女王陛下
暗黒都市の頂点に君臨する女王。絢爛な衣装をまとった美しい魔物であるらしい。

■ シャルロ・ド・ユニヴェール 
Charlot de Univers (1184 - 1215…)
南フランスの片田舎、パーテルに棲む吸血鬼。
かつては人間であり、名門貴族ユニヴェール家の当主としてフランス王フィリップ2世に仕え、かつクルースニクとしてインノケンティウス3世に仕えた。
ヴァチカンではデュランダルに配属され、ソテールの下、副隊長を務めていた。しかしユニヴェール一族を皆殺しにするという事件を起こし、フランスにて毒殺される。享年31。
力を求め続けたユニヴェール家の最高傑作。
名前の由来はフランス語で世界。紋章は黒い蝶カラスアゲハ。

■ パルティータ・インフィーネ  
Partita Infine (1466- )
本名、パルティータ・デ・コンティ・ディ・セーニ。
教皇インノケンティウス3世の直系。ユニヴェールに対する切り札として長くヴァチカンに軟禁されていたが脱走。うまいことユニヴェール家に転がりこむ。
セーニの血がユニヴェールに影響を及ぼすことは間違いないらしく、パルティータはユニヴェールに噛まれても吸血鬼にならず(歳を取らなくはなった)、パルティータの血を飲んでいたユニヴェールはダンピールに殺されても滅びなかった。
名前の由来はイタリア語の音楽用語から変奏曲+終わらない。

■ ルナール/フリードリッヒ・フォン・バーベンベルク 
Renard/Friedrich von Babenberg
ユニヴェール家の居候。剣一振りでも充分強いが、実は二刀流。
ヴァチカンからは、神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世を出したホーエンシュタウフェン家に関係する者ではないかと疑われている。
彼に猫の呪いをかけた魔女キルケは彼が皇帝フリードリッヒ2世の孫でありハインリヒ7世の息子であるフリードリッヒであると証言している。
自分の飼い主はパルティータだと断言し、ユニヴェールと火花を散らすこと多々。
名前の由来はフランス語で狐。

■ アスカロン 
Ascalon
本名、エドワード。イングランド出身。
元々は貴族だったが、父親が亡くなった後、母は妹を連れてフランス貴族オーベールのもとへと嫁ぎ、彼はひとりで孤児同然の暮らしをしていた。
盗みを犯し衛兵に追われている途中、クルースニクだったユニヴェールに拾われる。
名前の由来は、竜殺しとして有名な聖ジョージが所有していた伝説の剣。一つ目の巨人サイクロプスが鍛えたと言われている。

■ フランベルジェ 
Flamberge
本名、フランベルジェ・ド・モントヴァン。フランス出身。
父は妻子ある貴族であり、母はそのメイドだった。
なんやかんやあってユニヴェールに拾われ、薬学に関してはカリスに師事した。
名前の由来は、フランベルジェ=波刃の剣、モントヴァン=その剣を所有していたシャルルマーニュ大帝の部下ルノー・ド・モントヴァン。

■ シャムシール 
Shamshir
イングランド出身。
生まれつき動物と意思疎通ができたため気味悪がられ、親に捨てられた。領主の娘が拾い孤児院に入れられていたが、そこでも孤立。
ネズミを操るとの噂を聞きつけやってきたユニヴェールが身柄を預かった。
ハーメルンの笛吹き男の正体はこの少年だと言われている。
名前の由来は、ペルシアの三日月刀。

■ セザール・ド・ロートシルト 
César de Rothschild
暗黒都市に住む若い吸血鬼。
ロートシルト家はもともと神聖ローマ帝国(ドイツ方面)の貴族だったが、紆余曲折を経てロートシルトの両親はフランスに付いた。
ドイツに残ったロートシルト家は、後の大財閥ロスチャイルド家の祖。
名前の由来はドイツ語で赤い盾。

■ 白狼
暗黒都市の持つ軍隊の総隊長にして、女王近衛隊“エクリプス”の隊長。ベリオールの上司。
権力の頂点が女王なら、軍事力の頂点がこの男。
見かけは好々爺な老将。
化け物分類は凶狼ウールヴヘジン。
溺愛する孫娘がいる。

■ アルビオレックス Albiorex
通称:アルビオ。女王近衛隊“エクリプス”の副隊長であり、女王の侍従長官(お世話係)。
紅の燕尾服を制服としている眉目秀麗な男。
戦場に出れば強いが、城内では口ウルサイみんなのお母さん的な立ち位置。
化け物分類、名前の由来:ケルト神話の主神、アルビオリクス(トータティス)より。

■ ウォルター・ド・ベリオール 
Walter de Balliol
暗黒都市の女王陛下直属の黒騎士。
実力重視の野心家だが、肩書きにこだわっているわけではない。
生まれながらの魔物で、常に挑発的。戦争大好き。愛剣はイブリース。
化け物分類はベルセルク。

■ ヴァナルガンド・フェンリル Vánargandr Fenrir
外見はやる気のない閑そうなデカいおっさんだが、北欧神話に出てくる巨狼フェンリルの人姿。
長らく狼の姿で暗黒都市の地下に飼われていたが、死の天使サマエルの出現に対抗するため、暗黒都市の戦力増強として解放された。
だが、パリの商人メリル・ジズ・メムによると、未だ女王による枷がされており、力のほとんどは封じられている模様。
隊の所属はない。
トレードマークは裏地が派手な外套。
意外と気さくだが、愛称の「ヴァル」と呼ぶのはメムだけ。

■ ジョヴァンニ・ピコ・デラ・ミランドラ 
Giovanni Pico della Mirandola (1463- )
人道主義者にして魔術師。
ヴァチカンから異端の烙印を押されたが、フィレンツェのロレンツォ・デ・メディチに匿われる。
後にフィレンツェの支配者となるジロラモ・サヴォナローラを招聘する。

■ エーデルシュタイン 
Edelstein
暗黒都市の上位組織「オンズ」の一員。少年の姿をした吸血鬼。
ユニヴェールへの嫉妬と嫌悪からパルティータに手をかけようとしたため、また暗黒都市を裏切りヴァチカンと取引をしたため、彼に滅ぼされた。
名前の由来はドイツ語で宝石。

■ パッセ 
Passe
エーデルシュタインが飼っていた吸血鬼の少女。血が苦手。見るのも嫌。飲むなんてとんでもない。
名前の由来はフランス語で過去。

■ アダマス 
Adamas
暗黒都市に居を構える女吸血鬼。背が高くグラマラスで迫力のある美人。
ユニヴェールよりも吸血鬼歴が長い。お酒大好きで、ベリオールとは飲み仲間。
名前の由来はギリシヤ語で「征服されざるもの」、ダイヤモンドの語源。

■レオナール・ミュラ Leonard Murat
暗黒都市に住む吸血鬼。 元々は教会から異端の烙印を押された「カタリ派」が集まる村出身の傭兵騎士だったが、村ごと焼き討ちにあい、女王の策略で村人ごと全員吸血鬼になってしまった。
異端であっても神を信じていたことには変わりがないので、しばらく暗黒都市にも与せず頑張っていたが、22話にてユニヴェールに下る。
現在は、神を信じ続けて良いことを条件に、ユニヴェールの監視下で村ごと暗黒都市に住んでいる。

■キルケ Kirke
ギリシア神話やホメーロスのオデュッセイアに描かれる魔女。
アイエイエー島に居住し、人を獣に変えることができる。ルナールに猫の呪いをかけたのも彼女。
神聖ローマ帝国フリードリッヒ2世の片腕として宮廷にいたこともあり、彼を世界の王にすることが夢でもあった。
が、その夢がユニヴェールによって断たれたため、今でも彼を許していない。

■メリル・ジズ・メム Meryl Ziz Mém
ユニヴェール行きつけのパリにある仕立て屋の店長。
謎の「ナルバートン商会」所属。
どんなものからでも糸を紡ぐ能力を持っているらしく、店には地獄の河を織った外套だのバビロンの空中庭園に咲き乱れる花の香を織ったドレスだの珍品が並ぶ。
フェンリルと仲がいいのか、彼を護衛にして珍しい糸を仕入れに出かけることが多々ある模様。



【ヴァチカン 
Vatican

† インノケンティウス3世 
Innocentius 3 (1161-1216)
本名、ロターリオ・ディ・セーニ。
最年少で教皇の座に昇りつめた男。デュランダルがソテール、シャルロの両人を擁し史上最強と謳われていた時代でもあり、カトリック教会の絶頂期を築く。
ユニヴェールを破門し、吸血鬼への道を拓いた張本人。

† インノケンティウス8世 
Innocentius 8 (1432-1492)
冷笑主義、短編第1シリーズ、ジェノサイド中に在位していた教皇。
魔術師と魔女を激しく嫌い、ハインリヒ・クレーマーらの著した「魔女への鉄槌」に権威を与えた。また、ピコ・デラ・ミランドラの著作の多くを禁書とした。
一方で私生活は贅沢で堕落していたと言われている。

† アレッサンドロ6世 
Alexander 6 (1431- )
本名、ロドリーゴ・ボルジア。
インノケンティウス8世没後の教皇選定会議では、多くの枢機卿を買収し教皇位を得ることに成功。
親族に次々重要な役職を与え、教皇権力の復権に尽力している。

† ヴァレンティノ・クレメンティ 
Valentino Clementi
ヴァチカン教皇庁総務局長官代理の枢機卿。
眼鏡をかけた神経質なキレ者。若くしてこの地位に就いたのは家柄と実力だが、そのため敵も多い。
ジェノサイド後、失脚。
が、21話にてデュランダルの分課「オートクレール」の責任者として復活。
現在の階級は司教。

† シエナ・マスカーニ 
Siena Mascagni
特務課デュランダル長官。ソテール・ヴェルトール直属の上司だった女性。
豊かな金髪と煌びやかな宝石に飾られた、聖なる都には似つかわしくない豪勢な女枢機卿。
ジェノサイド後は教皇に取り入り更に力を伸ばす。
年齢不詳。

† ソテール・ヴェルトール 
Soter Weltall (1183- )
代々デュランダルの隊長を務める名門ヴェルトール家当主。父の死に伴い幼年でデュランダル隊長に就任した。ヴェルトール家最高の天才と称されている。
ちにみに、ヴェルトール家の出自は神聖ローマ帝国、フランク王国へとさかのぼることができる、らしい。 不死ではない点を除けば、ユニヴェールと互角に戦える唯一の人間。
名前の由来はギリシア語で救世主+ドイツ語で世界。
紋章は黄金の竜。
ジェノサイド等の責任を取ってデュランダル隊長を辞めた後、デュランダル分課「オートクレール」を作って隊長に就任。
これは、ヴァチカンを追い出されたソテールが神聖ローマ帝国皇帝(マクシミリアン1世)の戦力になることを怖れたアレッサンドロ6世が、彼をヴァチカンに留めておくために行った苦肉の策である。

† ルカ・デ・パリス/セバスチャン・クロワ/クリスチャン・ローゼンクロイツ/サマエル
Luca de Paris/Sébastien Croix/Christian Rosenkreuz/Samael
ソテールの代わりにデュランダルの隊長となった男。
外見はフェッラーラでユニヴェールに殺されたルカ・デ・パリス。中身は死の天使サマエル。
パルティータがヴァチカンにいた頃彼女だけに見えていた執事セバスチャン・クロワ、薔薇十字団を結成し世の中の浄化を目指すクリスチャン・ローゼンクロイツとも同一人物。
かつてはパルティータの父・フォリアと何らかの契約を結んでいたようである。
堕天でありながら神を敬愛し、すべての行動原理は神が望む世界の具現。

† フリード・テレストル 
Frido Terrestre (1475- )
ソテールの下で修行中なユニヴェールの息子。いわゆるダンピール。
ユニヴェールは名乗らず、母姓を使っている。(母はマリー・テレストル)
「ジェノサイド」においてほとんど死んだが、父が魂を救い、ソテールが肉体を復活させた。
ジェノサイド後、デュランダルの一員となる。
名前の由来はドイツ語で防衛者+フランス語で地上の。

† カリス・ファリダット 
Calix Faridat
デュランダルの一員。参謀官。優男な容姿とは裏腹に歯に衣着せない物言いをする。
時々自暴自棄気味。
医学、薬学に詳しく、その道においてフランベルジェの師である。
名前の由来はラテン語で聖杯+アラビア語で宝石。

† ミトラ・マンノウォー 
Mitra Man O' War
デュランダルの一員。盲目の武人。デュランダルの中でソテールに次ぐ戦闘能力の持ち主。
パルティータの師でもあった。
名前の由来はイタリア語で司教冠。

† クロージャー・ミルトス Crosier Myrtus
デュランダルの一員。
デュランダルの中で最も常識人。命令と自分の意見との折り合いをつける術を身につけており、上司が誰であろうと内容がどうであろうと、さほど苦悩もせず与えられた仕事は忠実にこなす。
後輩の面倒見はいいが、時々辛辣で時々中間管理職的な愚痴をこぼす。
ソテールの叔父にあたり、ヴェルトール家の一員でもある。
名前の由来は、司教杖+銀梅花。

† ヴェルトロ・レンツィ Veltro Renzi
ジェノサイドでのデュランダルの欠員に伴い、マルセイユの聖騎士団からデュランダルへ抜擢された。
目を引く赤毛で、外見はマルセイユの港町のように華やか。
実力はあるのだが、押しの弱い穏やかな性格。へたれとも言う。
名前の由来:ダンテの神曲に描かれる、地獄から来る狼を狩りイタリアを救うと予言される大いなる猟犬より。

† ヨハン=ファウスト 
Johan Faustus
ゲオルク=ファウストの息子。錬金術にも医学にも興味なしの不良青年だったが、ユニヴェールにそそのかされて錬金術に傾倒し始めた。短時間で多数の書物を読破するなど、才能はあり。
20話でシエナ・マスカーニによって正式にデュランダル隊員となる。
これからの時代は力だけではなく科学が必要だというシエナの考えにより、副隊長に大抜擢。

† シルヴァン・レネック 
Sylvain Laennec
パーテル聖騎士団の隊長。ジェノサイド以前にパルティータの素性を知っていたが、律儀に約束を守って黙っていた。
職務に忠実な堅物だが、実は情熱家。
ジェノサイドでの功績を認められ、シエナ・マスカーニによってデュランダルに招聘される。

† ルイーゼ・レネック 
Luise Laennec
シルヴァン・レネックの妻。元ユニヴェール家のメイド。
魔女狩りで処刑されそうになったところをレネックに救われる。

† ヴィスタロッサ 
Vistarossa
パーテル聖騎士団の女聖騎士。理想の男性はレネック隊長。
名前の由来はイタリア語でバラ色の人生、ヴィータローザの変形。ヴィスタ=展望、ロッサ=赤。

† ハインリヒ・クレーマー&ヤーコプ・シュプレンガー 
Heinrich Kraemer & Jakob Sprenger
ドミニコ会修道士にして異端審問官。
魔女狩りの教典とも言える「魔女への鉄槌」という本を著した。

† ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ 
Giuliano Della Rovere (1443- )
教皇シクストゥス4世の甥である枢機卿。いくつもの司教位を掛け持ちし教会内でも大きな力を有していたが、インノケンティウス8世没後のコンクラーヴェでは、賄賂戦略を展開したロドリーゴ・ボルジアに敗れる。ボルジアとは事あるごとに対立していたため、現在はパリに逃れている。

† カタリナ 
Caterina
アスカロン(エドワード神父)が創った孤児院で暮らしていた少女。
神の声を聞くことができる。
デッラ・ローヴェレ枢機卿がその噂を聞きつけ、セーニの代わりの聖女にと引き取られた。
現在は枢機卿と共にパリにいる。
名前の由来は聖カタリナ。

† マリー・テレストル 
Marie Terrestre
フリードの母。敬虔なクリスチャンだったというが、どのようにしてユニヴェールと出逢ったのかは不明。パルティータの愛読書「吸血鬼の飼い方」の著者。



【薔薇十字団】

◆ クリスチャン・ローゼンクロイツ 
Christian Rosenkreuz
死の天使サマエルがこの時代に使っていた名前のひとつ。他にセバスチャン・クロワとも名乗っている。
神の望む世界への変革を掲げ、薔薇十字団を創設。

◆ ユーリス・ロバン 
Iuris Robin
パーテルで起こった大量殺人事件、通称ロバン事件の犯人、サイド・ロバンの弟。不正な裁判によって刑を逃れた罪人を死刑に処す、薔薇十字団の超法死刑執行人。
名前の由来はラテン語で正義。


【その他の人々】

▼ アンヌ・ド・ボージュー 
Anne de Beaujeu (1461- )
フランス国王シャルル8世の姉であり、摂政。ブルボン公ピエール・ド・ボージューの妻。
有能でやり手。
ボジョレー地方の発展に貢献した人物でもある。

▼ シャルル8世 
Charles 8 (1470- )
ルイ11世の息子。現フランス国王。幼くして国王の地位に就いたため姉夫婦の庇護下にいたが、マクシミリアン1世の令嬢マルグリット・ドートリッシュとの結婚破棄、アンヌ・ド・ブルターニュとの結婚を機に、自己主張を始める。ナポリ王の冠がほしいお年頃。
紋章は百合。

▼ マクシミリアン1世 
Maximilian 1 (1459- )
ハプスブルグ家出身のオーストリア大公。ブルゴーニュ公女マリーと結婚するが、間もなく死別。フランス国王ルイ11世(シャルル8世父)の画策によって公国内に反乱が生じ、娘のマルグリットをフランスへ引き渡すことになった。
1486年、ローマ王選出。1493年神聖ローマ帝国皇帝に即位。教皇の戴冠受けず即位した最初の皇帝。紋章は双頭の鷲。

▼ クンツ・フォン・デア・ローゼン 
Kunz von der Rosen
マクシミリアン1世に仕える道化師。
政治的才覚に優れていて、マクシミリアンの影で器用に立ち回り彼を支えている。

▼ マルグリット・ドートリッシュ 
Marguerite d'Autriche (1480- )
マクシミリアン1世の令嬢。幼くしてシャルル8世の婚約者としてフランスに引き取られ養育され、事実上王妃となった。しかしアンヌ・ド・ボージューの画策によりシャルル8世との婚姻は無効と宣告され、その地位を追われる。
1493年、サンリスの和約にてようやくフランドルへ帰国。

▼ ゲオルク=ファウスト 
Georg Faustus
ドイツを拠点にしている錬金術師兼医者であり、ユニヴェールの主治医なおっさん。
ソテールらデュランダルの面々が不老で生き続けているのも、この男の錬金術によるものだと言われている。

▼ テレーズ・フォンデンブロー 
Therese Fondenbleau
魔女裁判にかけられていた少女。生真面目なため、異端審問官の約束を真に受けユニヴェール殺害計画を実行する。
現在は吸血鬼となり暗黒都市に住む。
名前の由来は聖テレーズ。

▼ ロレンツィオ・デ・メディチ 
Lorenzo de' Medici (1449-1492)
実質的にフィレンツェを支配していたメディチ家の当主。巧みな外交術でイタリアの勢力均衡を維持し、芸術家たちのパトロンも務め、最も華々しい時代を創り上げた。
しかし実際の財政は破綻寸前にまで追い込まれていたらしい。

▼ シチリアのアデリーヌ 
Adeline
シチリアのプーリア、アンドレアの丘にそびえるカステル・デル・モンテに棲む“魔物を喰う魔物”。
実際には自分から棲み付いたのではなく、ヴァチカンの言いなりになっていた。
暗黒都市の裏切り者としてユニヴェールに滅ぼされる。

▼ ルカ・デ・パリス 
Luca de Paris
フェッラーラを治めるエステ家に仕える中流貴族の跡取り息子。心を寄せていたシスターが魔物に殺され、魔物を憎むようになる。復讐の手助けをしてくれたフランチェスカと結婚。
が、ユニヴェールにも楯突いたため彼に殺される。

▼ フランチェスカ・ラニエリ 
Francesca Ranieri
密かにルカに思いを寄せていた落ちぶれた小貴族の娘。黒騎士ベリオールと契約を結び、彼の愛剣イブリースを借り受けていた。それをもとにルカに近付き、結婚。ルカの没後、彼女に遺産がゆくことを嫌ったパリス家に暗殺される。

▼ ソレンヌ・ド・ダルレ 
Solenne de Darre
リヨンの貴族ダルレ卿の娘。説法に訪れたカリスに一目惚れした。
薬師として名高いフランベルジェにいわゆる「惚れ薬」の調合を頼み、カリスに婚約を承諾させようとするが、失敗。

▼ ゲネリス・カーリタス 
Generis Caritas
パーテル近郊の成り上がり貴族。裁判の官吏を務め、減刑の代わりに金品を差し出させ私腹を肥やしていた。
老いてから二人の娘を授かったため溺愛していたが、自分の城で階段を踏み外し頭を打って死亡。
名前の由来はラテン語で博愛、慈悲。

▼ ベル・カーリタス & シェリー・カーリタス 
Belle Caritas & Cheri Caritas
ゲネリス・カーリタスの娘たち。
父が怖れる魔物から父を護ってほしいと少女ふたりだけでユニヴェール邸に乗り込んできた。
何故かユニヴェールに懐いている。
ベルの名前の由来はフランス語で美しい、シェリーは愛しい、可愛い。

▼ サイド・ロバン 
Side Robin
パーテルの教会で無差別に13人を殺した殺人鬼。
ロバン家の跡取りであったが、他貴族との権力闘争に精神を病み狂気に取り付かれたとも言われている。
裁判官吏の不正によって死刑を逃れるが、幽閉されていた牢獄内で弟のユーリス・ロバンによって殺された。


【過去の人々】

● フリードリッヒ2世 
Friedrich 2 (1194-1250)
ホーエンシュタウフェン家出身。幼くしてシチリア王となり、教皇インノケンティウス3世の後見を受けて育つ。1220年に神聖ローマ帝国皇帝即位。9ヶ国語を操り、占星術や生物学など様々な分野に興味を示す鬼才であった。優れた外交術も持っており、戦わずしてエルサレムの統治権を手に入れたことは有名。
吸血鬼となったユニヴェールとも交流があったらしい。カステル・デル・モンテの建設を命じた人物でもある。
紋章は黒い鷲。

● フィリップ2世 
Philippe 2 Auguste (1165- 1223)
フランス国王。イングランドに奪われていた大陸領土の大半を取り戻すことに成功。都市整備などの内政にも力を注ぎ、尊厳王と呼ばれる。ホーエンシュタウフェン家とは同盟関係。
シャルロ・ド・ユニヴェールをデュランダルに推薦した張本人。
紋章は百合。

● マルグリート・ド・フランス 
Marguerite de France
フィリップ2世の娘。生まれた時に預言者により魔女の烙印を押され処刑されたはずだったが、フィリップが密かに匿っていた。
ユニヴェール家断絶のきっかけになった王女。

● シャルル・ド・アルシュ 
Charles de Arche
シャルロの父。ユニヴェール家の呪いに則り吸血鬼となり、暗黒都市の王と謳われていた。
ソテール・ヴェルトールに滅ぼされる。
ユニヴェール家の最高傑作はシャルロであり、彼以外の弱いユニヴェールがユニヴェールを名乗るべきではないと考えていたため、彼が当主となって以降“ユニヴェール”は名乗っていなかった。
名前の由来はフランス語でノアの箱舟。

●ベルディーニ枢機卿 
Berdini
インノケンティウス3世下の老枢機卿。ソテールやユニヴェールのお目付け係。他の枢機卿ほど彼らを毛嫌いしておらず、彼らの行く末を案じていた。

●オーベール卿 
Auber
フランスの侯爵。フランス国王フィリップ2世がシャルロを気に入り重臣に取り上げようとしたため、舞踏会を催し他貴族らと結託して彼を暗殺した。
アスカロンの母が再婚した相手でもある。

● リカード・デューイ 
Ricard Dewey
ヴァチカンの聖騎士見習いの若者。
ソテール、ユニヴェールの問題児ふたりと組まされることが多い。

● ジェローム・フェアフィールド 
Jerome Fairfield
シノンに城を持っているイングランドの伯爵。結婚の決まった娘メーヴィスが魔物に恋をしてしまったため、ヴァチカンにその魔物の討伐を依頼する。エリック・コーツに殺害された。

● アルフレッド・フェアフィールド 
Alfred Fairfield
ジェロームの令息。メーヴィスの兄。フェアフィールド家の実権を握りメーヴィスの結婚話を破談にするため、エリック・コーツにメーヴィスと結婚させてやるという約束をして、ジェロームを殺させた。事件後、父の後を継ぎフェアフィールド家の当主となる。

● メーヴィス・フェアフィールド 
Mavis Fairfield
魔物に心を奪われた、ジェロームの一人娘。アルフレッドの妹。深窓の令嬢として世間とはあまり関わりなく育てられたが、先々まで決められている人生にうんざりし、魔物ネアンと共に過ごすことを望んだ。

● エリック・コーツ 
Eric Coates
アルフレッドとメーヴィスの幼馴染。父親はフェアフィールド伯の騎士団の一員。本人は騎士見習い。人懐こく気さくな青年。
メーヴィスの政略結婚を阻止するため、ジェロームを殺害した。
ソテールらが真相を隠蔽したことにより罪には問われず、ミランダのもとで騎士に叙されたらしい。

● ネアン 
Neant
父親に決められた政略結婚によって醜い権力争いに巻き込まれてゆくのだろうメーヴィスを哀れみ、彼女を愛するようになった魔物。権力闘争のあげく殺された人間の成れの果てらしい。
ソテールに滅ぼされた。
名前の由来はフランス語で虚無。

● ミランダ 
Miranda Fairfield
ジェロームの私生児。長くメイドとしてフェアフィールド家に仕えてきたが、アルフレッドに代がわりしてから小さな領地を与えられた。

● ジーク 
Sieg
子どもの売買を裏産業にしていた寒村に住む、「影」を怖れる青年。人生の大半を納屋の地下で過ごしていたが、新たに派遣された神父にのみ心を開いた。しかし、村人によって殺され井戸に捨てられた。
名前の由来はドイツ語で勝利、克服、征服。

● フォリア・アラート Folia Alato
ヴァチカンの地下に幽閉されていたパルティータの父、フォリア・デ・コンティ・ディ・セーニの影武者。
とは言っても本物を守るための影武者ではなく、本物が悪だくみをする際の地上での実行役。
本物のフォリアと契約していたサマエルの姿を見ることもできた。
名前の由来:イタリア語で「翼ある狂気」。

● フォリア・デ・コンティ・ディ・セーニ Folia de Conti di Segni
パルティータの父。生涯のほとんどをヴァチカンの地下に幽閉されて過ごし、最後は彼に怨みを持つ者に殺されたらしい。
ただし金策については非常に有能で、フォリア・アラートを使って違法すれすれ、数えきれない怨みを買いながら、ヴァチカンの資金を作ったとされる。
だが築いた財産のすべてがヴァチカンに捧げられたわけではないらしく、彼の富は未だ所在不明である。
あだ名はラードーン。ギリシア神話の黄金の林檎の樹を守る竜より。

● フニャディ・パレストリーナ Hunyadi Palestrina
パルティータの母。ハンガリー王マーチャーシュ1世の妹。
父ヤーノシュと長兄ラースローがベオグラードを包囲したオスマントルコ軍を破った功績を称え、ヴァチカンが彼女をフォリアの妻に迎え入れた。(ハンガリーはヴァチカンとのつながりができる、ヴァチカンはハンガリーからの人質をとることができる、利害の一致)。
ハンガリーは日本語と同じく姓→名の順番なので、パレストリーナが名前。


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