最後の騎士

あとがき



この品は、冷笑主義の番外編として「番外編競作企画」様に参加させていただいたものです。
参加にあたり、美蘭様、阿川京仁様、龍李様に校正をしていただきましたこと、この場を借りて厚く御礼申し上げます。(このファイルではなく、参加用ファイルの校正です)
お忙しい中、どうもありがとうございました。
今後再び校正を募集することがありましたら、皆様もぜひ。(笑)


* * *


マクシミリアン1世。
世界史の教科書ではどんな風に書かれていたのだろう。
残念ながら、真面目に授業を受けていなかった私は覚えていない。

彼については、無能であったという学者もいれば、フリードリッヒ3世と彼を指して鳶が鷹を生んだという学者もいるというように、評価が分かれているらしい。

しかし彼の生涯を見るにつけ、彼を非難するのはあまりにも無情なことのようにも思われる。本当にスゴイのだ。次から次へと事件戦争が降ってくる。
その度に彼は奔走する。
しかも金がない。(笑)
他国が自らの誇り、危機感を持っているのに対し、帝国領はドイツ諸州の集まり。戦争するから戦費を調達しろと言っても、納税しろと言っても、「でもォー、○○公も払ってないしィー」と、ぶちぶち言って結局払わないのだ。
必然、借金はかさみ、皇帝領オーストリアだけが負担する羽目になる。

おそらく現代人ならば、ストレス死か過労死がオチではなかろうか。

彼はこの話の後、フランドルを屈服させることに成功する。
だがその後、ブリュージュ市で捕われの身となる。またも市民に裏切られたのだ。
この時はかなり危なかったらしい。
王の下官たちは次々と処刑。(宰相は“清廉潔白”の罪で処刑されたとか)
王自身も毒殺を恐れて食べるものも食べず、三ヶ月。
そこに修道僧に扮した道化師クンツが現れ、王を脱出させ身代わりとなり、父帝フリードリッヒ3世も駆けつけてどうにか収束する。
(命は助かったわけだ)


人あたりがよく、弁舌がたち、戦争においては傭兵たちを率いて前に立つ。

そんな彼は、脚光を浴びたりどん底に落ちたり、波乱万丈な人生を生き抜いて、1519年に世を去った。
孫のカール5世が皇帝に選出される五ヶ月前のことだったという。

王様(皇帝)ってのは本当にラクじゃない。



……なんて私がエラソーに言うことじゃないんですけど、今回は番外ということで、普段は混ぜる程度の歴史を濃くしてみました。
しかし人物そのものは史実に従うというよりもキャラクター色を強くしていること、ご理解いただきたく。(歴史書を書きたいわけじゃないですからね)
書きたかったんだー、この人。(笑)

不二 香


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