Gallery - The scene

第一話 「暗黒都市の番犬」より

「パルティータ。私は身内に上の名で呼ばれるのが好きでないと言ったはずだが? シャルロと呼びなさい」

(なんで主を名前で呼ばなきゃいけないのか)
  「言いにくいんです」
  「おまけに私は身内ではありません」

  
(そのとおり)
彼女は主の言葉に従い、三つ折りにされ、赤のロウで封印してある手紙の隅を見やった。

(パルティータの給料より高いティーセット)
申し分ない、男だ。吸血鬼でさえなければ。

(あと、しゃべらなければ)
ヴィス・スプランドゥール。
赤の月が闇を照らす暗黒都市。

(街灯が少ないというクレームは暗黒都市行政局地域整備課まで)
「ロートシルト卿は何回かここへ来たな?」

(ギリギリストーカー!?)
「綺麗な晩だ。そう思わんか?」

(それとこれとは別)
折れ曲がったロザリオと銀の銃弾とが石畳に落ち、乾いた音を立てた。

(もったいない)
「君は僕の理想の人だよ、インフィーネ嬢〜!」

(ロートシルトは空気を読まない)
「愛を取るか金を取るか、それが問題だ」

(パルティータにとっては問題ではない)

 

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