冷笑主義

 第12話 「エドワード」



 雨が降っていた。
 家々を濡らし、教会を濡らし、木々を濡らし、道を濡らし、霧のような水煙がローマの街を覆っていた。
 誰も出歩いていない街。雨が石と土を打つ音以外、人の耳には届かない。
 継ぎだらけの服を着た若者たちが走る、その裸足が無遠慮に水溜りを蹴散らす音も包み込みこまれ──あるいは存在しないものと覆い隠されている。
「ロズが殺された!」
 後ろを振り返り振り返り、しんがりの少年が叫んだ。それさえも、街は聞いていないふりをする。
「逃げろ!」
 先頭を切る青年が抑えつけるように一喝した。
「構ってれば俺たちが殺される」
 だが反して少年の走りは止まり、
「でも!」
 身体が反転の様子をみせる。
「お前は殺されたいのか!」
 青年が足を止め、怒鳴った。手に握り締めた皮袋をずいっと少年の目の前に突き出す。
「これがなければ俺たちは明日にも死ぬ。死んだロズのために戻れば、その瞬間死ぬ」
 皮袋は重かった。銀貨の重みと、罪の重み。
 下級貴族の馬車を襲って奪った明日への糧。
「死にたいんなら勝手にしろ」
 青年は言い捨てると再び走り始めた。その後を同じような身なりの子供たちが続く。
 すると、砂泥と雨に塗れた彼らの背後から、
「いたぞ!」
「取り返せ!」
 大人たちの声が追いかけてきた。
 少年の顔がひきつり、蒼ざめる。
「待って!」
 小さい足が水溜りに映った街を壊す。
「死にたくなかったら逃げろ!」


 雨が降っていた。
 家々を濡らし、教会を濡らし、木々を濡らし、道を濡らし、霧のような水煙がローマの街を覆っていた。



◆  ◇  ◆



「神父様。神父様のお名前はエドワードって言うのよね?」
「そうだよ」
「それは聖エドワードのお名前をお借りしたの?」
「よく知ってるね」
 ローマの片隅、昼下がりの教会。
 赤や青のステンドグラスを通った光がきらきらと空気を彩っているその中で、長椅子に腰掛けたひとりの神父を年長年少様々な子供たちが囲んでいた。
「聖エドワードがどんな人かは知っている?」
「知らない」
 神父の横を陣取った少女があどけなく首を振ると、
「聖ピーター教会ウェストミンスター寺院を建てた人だろ?」
後ろの長椅子に背を預けていた青年が、欠伸混じりに言う。照れ隠しだ。
「ヒラリオ、正解」
 少女の頭に手をおいて神父が笑い、いくつもの尊敬の眼差しがヒラリオ青年に向けられた。
 彼は手にしていた分厚い聖書で顔を隠す。
 エドワードはくすくすと肩を揺らしながら、興味を失っていない子供たちに語った。
「イングランド王聖エドワードが建てたあの教会では、歴代のイングランド王たちが戴冠式をしてるんだよ」
「ゆいしょただしいのね」
「そう、由緒正しい」
 鳶色の髪に深い草色の僧衣。教会ひとつを任されるにしては若く、彫りの深い顔は柔和だが底が見えない。やけに砕けた物腰は神父らしくなく、しかし子どもウケはすこぶる良い。
 子供たちに笑いかけるその目が見ているものは遥か遠くに思え、しかし塵の如く積もった過去にも思え。
 踏み出す先ではなく、歩くことになるかもしれない枝分かれした無数の道を。
 道を選んだ分岐点ではなく、一歩一歩足跡をつけてきた長い道のりを。
「それじゃ、その聖エドワードから名前をもらったエドワード神父が創った私たちの孤児院も、とっても由緒正しいのね」
 長い栗色の髪を払い、みんなのお姉さんを自負するバルヴィナが胸を反らす。
「そのとおり。だから君たちは、どこへ行ってもそのことに誇りを持っていい」

 教会の近くには、飾り気のない質素な建物が建っていた。
 このエドワード神父が私財を投じて作った孤児院だ。公的な機関ではないし、宣伝をしているわけでもないからそれが孤児院だと知っている者はほとんどいない。しかし、雨に打たれ病に冒され飢えに蝕まれていた多くの命が、ここで安息を得た。
 子供たちの面倒を一手に引き受けているのは老シスター・フランシスカで、今日も教会の端の方に座って子供たちと神父のたわむれを眺めている。

「私ずっと聞きたかったんですけど、神父様はどうして孤児院を創ろうと思ったんですか?」
 バルヴィナが言葉を正し神父を見つめた。
 肩車をしてもらおうと首に手をかけてくる少年の背を支えながら、エドワードは天を仰ぐ。
「僕自身が孤児だったからだよ。両親は僕を捨てたんだ」
 そして続ける。
「幸い、イイ人に出会って今こうしているけどね」
 彼らを見下ろし祭壇から入り口へと列を成す、白い柱。その円柱から広がり交差する曲面天井ヴォールト。徹底的に修飾を廃したこの教会が彼は気に入っていた。清々しく潔いではないか。
「──ところで」
 彼は視線を下ろし皆を見回した。
「最近カタリナの姿が見えないんだけど、具合でも悪いのかい?」
「…………」
 子供たちが顔を見合わせた。
 そのまま気まずい沈黙が続くのかと思いきや、エドワードの肩に登ろうと四苦八苦していた少年が動きをとめ、
「カタリナはここに来たくないんだって。神様がここに来ちゃ駄目って言うんだって」
 口を尖らした。
「神様が?」
「そう。変なカタリナ」
 少年の非難に、子供たちがうなずく。
「きっとアイツ、ここのもの何か壊したんだぜ」
「それでエドワード神父に怒られると思って来たくないんだ」
「私だって神父に嫌われるのは嫌〜」
「でも会えないのはもっと嫌〜」
 思い思いの言葉をてんでばらばらに口にする子供たち。
 それを聞きながら、エドワードは肩越しにシスター・フランシスカを見やった。
「……さぁ、みなさん。午後のお勉強の時間が始まります。帰りましょう」
 フランシスカが立ち上がり、パンパンと手をたたいた。
 彼女は優しいが、同じくらいコワイ。
 子供たちはしばらく口の中でモゴモゴと文句を転がしていたが、
「また明日もおいで」
 エドワードに背中を押されると渋々立ち上がる。
「バルヴィナ、ヒラリオ、みんなをお願いね。私はエドワード神父にお話がありますから」
『はい』
 子供たちは名残惜しそうに手を振りながら、光の溢れる方へと帰ってゆく。
 最後にバルヴィナの影が光に飲まれると、扉は閉まり教会には神父とシスターのふたりだけが残された。

「エドワード神父」
「はい?」
 フランシスカが充分な間をあけて、彼の隣に腰を下ろした。
「カタリナを養子にしたいという方がいます」
「それは良かった」
「デッラ・ローヴェレ枢機卿です」
「すごいことだ」
 ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ枢機卿。
 イタリア、サヴォア近郊生まれの亡き教皇シクストゥス四世の甥。若くして枢機卿座を手に入れたことに始まり、いくつもの司教職を掛け持ちし、教皇使節としてフランスへも赴いたことのある重鎮だ。
 インノケンティウス八世下では絶大な権力を誇り、コンクラーヴェではアレッサンドロ六世に敗れたものの、今なおその影響力は衰えていない。
 厳格で近寄りがたい、およそ外見だけを比べても、現教皇とは正反対の人間であると知れる。
「あの方は、カタリナが神の声を聞くことができる、汚れた魂を浄化することができるという噂をききつけて、おっしゃっているのです。カタリナを今はきヴァチカンの聖女パルティータ・ディ・セーニの位置に据え、その親として自らは教皇となろうというのでしょう」
「……彼女はいつから神の声を聞くようになったんだい?」
「さぁ。半年ほど前でしょうか。あるいは、私たちには言わなかっただけでずっと前から聞こえていたのかもしれません」
「…………」
「カタリナにはローヴェレ卿の考えているだろうことは話して聞かせました。それでも彼女は、少しでも神の近くへ行きたいと申しました」
「そうかい」
「しかし卿は、彼女を娘にするにあたり、条件を出したのです」
 シスター・フランシスカが、膝の上に重ねていた手をぎゅっと握った。



◆  ◇  ◆



 雨は降り続いていた。

 ──神は、汚れを血を洗い流し、この街からあらゆる不浄を消してしまおうとしているに違いない。
 路地裏に駆け込んだ青年はそう思った。
「…………」
 立ち尽くす彼の目の前にあったのは、すでに息のない子供の死体だった。擦り切れた服からのぞく手足にはいくつもの鬱血痕があり、頭は遠目に見ても異様なほど陥没していた。
 人が、ゴミ同然に捨てられている。
 さっきまで気の弱いことばかり口にしていた仲間が、殴られて死んでいる。
 このまま彼は人に目を背けられ、烏についばまれ、鼠にかじられ、風雨にさらされ、ぼろ布をまとった白骨へと姿を変えてゆくのだろう。
 誰も殺した者を咎めない。訴える者なんていない。水を吸ってふやけ腐敗する死人を葬ってやるような者はいない。良くても、川原に棄てられるだけだ。臭いがひどいと顔をしかめる貴族から小銀貨一枚を握らされた乞食が、悪態をつきながら未来の己を川に棄てる。

 青年は呆然とその場を離れた。
 散り散りになってしまった仲間を探すでもなく、彼は足を前に出し続けた。
 そして辿りついたのは、濁った水が押し流れるテヴェレ河だった。

 石橋の近くに生えていた細い木に背を預け、ずるずると座り込む。
 茶色の流れを叩く雨。浮いては沈み浮いては呑まれ、しかし悲鳴ひとつあげず寡黙に去ってゆく流木。向こう岸に広がるこんもりとした木々とその背景にわずか見える石積みの城壁。
 空を覆う重いどんより灰色の雲。あの神々しい太陽の光さえ遮り、雷鳴を喉の奥に抱えながら縦横無尽に渦巻いている。

 そんな荒涼とした世界の真っ只中にあって、彼の胸に去来するのは家族──母と妹のことだった。
 二度と思い返すまいとしていたのに、これは死のきざしなんだろうか……。彼は、そんなことを思う自分自身に苦笑を落とした。
 思い出したのはきっと、彼らと別れたのが橋を挟んだ川だったからだ。橋のこちら側にいる自分と向こう側へと小さくなってゆく馬車の光景。それが生身に押された烙印のように痛みを持って消えないだけだ。

 イングランド貴族だった父が亡くなった後、母はフランス貴族と再婚した。妹は大事な政略結婚の駒として母と共に行った。だが彼は、彼が先方の子息よりも年上だったのが災いしたのだろう、選択を迫られた。下男として屋敷で働くか、縁を切るか。
 彼は後者を取った。後者を取り、預けられた先から飛び出した。
 それから幾年月。盗賊の仲間になり、流浪の民に混じり、巡礼者にくっつき、そしてこのローマへやってきた。
 金さえあれば何でも手に入る、金がなければ振り返られぬまま朽ち果てる。そんな都へ。
 美しく、荘厳、神のおわす遥かなる都。そう聞いていた都へ。

 しかし、今眼前に広がっている寒々しい寂景が、今まで見た何よりも美しかった。
 自分の命が尽きるその瞬間には、あるいは世界が壊れる一瞬前には、閉じた目の裏でもう一度この景色を見たい。ラテラノ大聖堂より、サンタ・マリア・デル・フィーオレより、この冷たい雨を。この無情な河を。
 彼は深い呼吸を繰り返し、茫洋と眺め続けた。
 ……腹がすきすぎて動けない。


◆  ◇  ◆



「デュランダルを携えしローラン、オートクレールを携えしオリヴィエ、彼ら十二勇将を率いたかのフランク王シャルルマーニュ。彼の愛剣ジョワイユーズこそ剣の中の剣! どれだけの金を積むことになろうとかまわん! 手に入れないでいられようか! ……って、呆れて物が言えない」
 パルティータは、存在自体が胡散臭いくたびれた扉の前に座り込んでいた。ひざに頬杖をついているためメイド服のひらひらした裾や羽織った黒の外套が地面を擦っているが、もはや正す気にもならない。
 彼女が座っていたのはローマの裏通りにあたる界隈かいわいで、ぼんやりと眺めている石畳の道に人通りは少なく、客を呼ぶ声も無かった。それどころか、通りに面して窓があるから仕方無しにひとつふたつ並べておきましたとでも言いたげな陰気な店ばかりだ。あからさまに一見さんお断り。ウチが何を扱っているか分かっている人間以外扉を開けるなと正面きって言っている。
「他人のことだと“ローマは腐っても聖域”だの、“いくら化け物でもほいほい近づきたい場所ではない”だの言うくせに、自分の趣味だとほいほい来るんだから」
 彼女は、彼女の主であるパーテルの吸血鬼、シャルロ・ド・ユニヴェールのお買い物に付き合わされていた。

 三百年の時を生で見続けてきた化け物にしてみれば、歴史とは古い友人同然なのだろう。互いに互いのことをよく知っている。誰よりも。
 だからなのか、彼は骨董品が好きだった。そのうえ“伝説の○○”という飾り文句が大好きだった。
 伝説的なシャルルマーニュが手にしていたという伝説の剣、ジョワイユーズ。それが極秘裏に取引にかけられたとあっては、あの男が大人しくしているわけがない。
 しかも行くならひとりで勝手に行けばいいものを、パルティータにお供せよとの沙汰が下った。
「……贋作に決まってるでしょうに」
 いくら教皇の膝元ローマと言っても、完璧な治安というわけではない。冬混じりの風だって冷たくないわけがない。そんな街にあってかよわい乙女をいつまでも外で待たせたままとは、紳士の風上にもおけないのではないか。
 いっそ誰かにさらわれてやろうか。
 彼女がそんなことをつらつら思っていると、通りの奥からひとりの老婆がやってきた。
 枯葉色の薄汚れたローブを思いっきりひきずった、いかにも魔女な老女。ぺたぺたと音がしそうな歩き方で、しわに埋もれた目はどこを見ているのかよく分からない。パルティータの存在など眼中になさそうではあったが、パルティータは出来る限り気配を消し息も止めた。
 アッチの街の住人とはなるべく関わり合いにならない方がいいことくらい心得ている。気を抜くと給料が吹っ飛ぶ事件に発展しかねないのだ。
 ところが。
「…………」
 こっちの心情を丸きり無視して、老婆は彼女へ向かって来た。わざわざ向きを変えて。
「…………」
 パルティータは明後日の方向を見つめ続けた。
「…………」
 しかし老婆は腕にかけたカゴから何やら取り出し差し出してくる。
 チラリと見れば、花一輪。白い大振りの花だ。名前は知らない。
「…………」
 タダほど高いものはないという大昔からの格言がある。化け物は見返りなしに物をくれたりしないという意味だ。
 彼女は目を逸らし続けた。
「……ちょっと」
 しかし老婆はずいずいと花を押し付けてくる。それどころか、樹皮のような顔まで合わせて近づいてくる。何を考えているのか分からない細い目の笑顔が、しかも人間じゃないと分かりきっているモノが、頬を擦らんばかりに寄ってくるのに耐えられる人間がいたら、そいつこそ化け物だ。
 いきなり奇声と共に口が裂け、襲いかかられないとも限らないのに。
「…………」
 どれだけ長話をすれば気が済むのか、主が扉を開けて出てくる気配はない。
 古来から、吸血鬼とは肝心な時に役に立たない者のことを言うのだ。
 護りの騎士を始末しようやく姫の血をいただこうとすれば太陽が昇り、棺桶で眠っている間に後をつけてきた吸血鬼始末人クルースニクに片付けられる。血がなければ貧血になりぶっ倒れ、間違って人間と愛しあうと苦悩と葛藤とで周囲を巻き込み破綻する。
 幸い彼女の主は幾つか当てはまらないものの、その存在を心底ありがたいと思うのは給料をもらった時くらいのものだ(それと魔女狩りから救出された時)。
 今だって、自分のメイドが見知らぬ魔物から無言の脅迫を受けているのに、自分はのほほんと偽物の伝説剣を掴まされかけている。
 馬鹿だ。
 と、罵ってみても主は現れない。どーでもいい時にはほいほい出てくるくせに、やはり使えない。
「……分かりましたいただきます」
 ずりずりと後ろに退がり壁と老婆との板ばさみにあったパルティータは、とうとう降参した。



「お〜ま〜え〜は〜〜〜〜」
 日が傾きかけた空を仰ぎ、男がうめいた。台詞の語尾がやたら伸びているのは、呆れ果てているからかもしれない。
 ようやく店の中から出てきたこの男こそが彼女の主だった。
 お決まりの黒外套に身を包んだ、フランス、パーテルの吸血鬼、シャルロ・ド・ユニヴェール。
 神を殺したと高笑い混じりに公言し、事実太陽にも焼かれず十字にも動じず、荘厳だった“死”を、愛すべき隣人であった“死者”を、怖れられる忌まれる存在へと変えてしまった。
 時に氷のように容赦なく、時に好奇心のままドジを踏み、時に己を失うほどの戦鬼となり、時に歴史を掘り起こす思索家であり、時に甘く心を絡め取る女の敵。
 だがどれだけ形容を並べてみたところでこの男は、化け物四匹人間一人“ユニヴェール家”の主人である意外、何者でもない。
「パルティータ! 知らない化け物からものをもらってはいけないと何度言ったら分かる!」
 ほら。ただでさえ目つきの悪い吸血鬼の双眸がいっそうつりあがる。
「知ってる化け物ならいいんですか?」
 揚げ足をとってみると、
「よくない!」
 瞬時に雷が落ちた。
 どうやら(主以外の誰もが思ったとおり)ジョワイユーズは偽物だったらしく、主のご機嫌は斜め気味だ。
「そんなこと言ったって、ではどうすればよかったんですか」
「叫ぶとか喚くとか泣くとかあるだろうが」
「そんな見苦しいことできません」
 ユニヴェールが額に左手を当てた。
 そしてこちらに指を向けてくる。
「お前にはそれが何に見えてる」
「花です」
「私には鬼火に見えるがね」
「まぁ」
 パルティータは自分の手にしている白い花を見下ろした。
「今すぐそれを婆さんに返さんと、お前は今夜中に死ぬぞ。それは魂狩の目印だからな」
「魂狩?」
「昼間でも動き回れる魔女たちが美味そうな奴に目印をつけておく。夜中になると魔貴族たちがその獲物を仕留めるためにやってくる。目印をつけられた人間は強制的に奴等が見えるようになって、文字通り泣き叫んで逃げ回るわけだ。それを楽しむ。でもって最後には喰う。まぁ……暗黒都市の祭りの一種か」
「なんてご近所迷惑な……」
 とかなんとか言っている場合ではない。
「で、どうしましょう」
「婆さんを探せ!!」
 また怒鳴られた。



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