幻獣保護局 雪丸京介
No.1 雪丸京介の情報格差
魔導協会経理担当者
「霜夜さん、雪丸京介の経費伝票なんですが、古い用紙を使っています。こちらの新しい形式で再提出するようお伝えください。再提出が認められるまでは経費は落ちませんので」
が。
霜夜さんは忙しいので経理の小言は机の肥やしになります。
保護局員
「霜夜さん、今日雪丸さんから報告書届きましたよ! 随分北に行っていたようです。次はどの案件をまわしますか?」
雪丸に仕事をまわすとロクなことがありません。
極力、「急ぎでなく」「影響が無く」「まぁ結局どっちでもいいもの」を選びます。
が。
保護局員
「霜夜さん、一足違いでした! 雪丸さんもう発たれてしまったようです。とりあえず近隣の支部に命令書送付しておきました!」
ふと「経費伝票」のことを思い出す霜夜さんですが、もう一度近隣に伝言をばらまく──しかもただの経費伝票再提出命令──のは、なんとなく嫌です。プライド的に。
そして、「まぁいいか、次に雪丸の所在が分かった時で」となります。
が、その頃の雪丸京介。
小さな街の銀行でやや冷や汗を流します。
「……ねぇシムルグ。この頃経費が全然入ってこないんだけど、どうしてだと思う?」
「さぁ〜、いよいよクビになったんじゃねー?」
「なったのかなぁ……」
「えぇっ!? お前から“役人”を取ったら何の意味が残るんだよ!」
「……あのねぇ……このままだと飢え死にするって分かってる!?」
THE END
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