<前後編の2ページです>

メサイア





神が世界を創りし時、彼は世界と共に生まれた守護者達に言った。

「ただ私だけを敬い、忠誠を尽くせ」、と。

だが神が人間を創りし時、彼は皆に言った。

「お前たちは人に従い、彼らに忠誠せよ」、と。

多くの者はその言葉を頭上にかざし、慈悲と愛をもって応えた。
だがしかし、どうしてもその言葉には服せぬと言う者がいた。

私が服するのは世界において唯一、神そのひとだけである、と。原初の約束をお忘れか、と。

己にかけられるべき愛を人間に奪われたための嫉妬であったか。神を敬愛し過ぎたゆえ、その裏切りへの憎しみは留まるところを忘れたか。

その者は神に刃を剥けた。
最も忠実なる者が、最も神を愛した者が、反旗を翻したのだ。

「天軍の指揮者、ミカエルよ。汝が往け」

神はその反乱に、刃をもって返答した。
最強の天使と称され──武において並ぶ者のなき大天使ミカエルと反逆者は、世界が滅ぶかと思われるほどの戦いを繰り広げた。
天から地から激突していた天軍も反乱軍も振りかざした剣を止め、息を呑む。
ふたりの一打ちごとに剣圧が大地をえぐり、衝撃が世界を裂く。舞い上がる塵が陽光を遮り、暗雲となって渦巻く。
彼らの力に差はなかった。
だが、……勝負はあった。

神が力を与えたミカエルの剣は、いかなる力にも屈しない。
大天使の一撃を黒き剣が受け止めた、その瞬間──

「──ッ!」

反逆者の剣は真っ二つに折れた。
目を見開いた彼の前には、間断なく振り下ろされるミカエルの制裁。



光は闇へと堕とされた。





◆  ◇  ◆  ◇  ◆





地獄の30個軍を率いる美貌侯爵、アンドレアルフース。

官僚として闇を率いる数多の上級悪魔の中でも、万魔殿
(パンデモ二ウム)に入れぬ下級悪魔の中でも、その名を知らぬ者はいない。
その者に与えられた地位は、中央参謀副長官。
賢者と名高き老爺、フォーカス刈除公を頂点とする中枢頭脳の第二位だ。

だが、彼が世界あますところなく知られているのはその地位のためではない。
彼の、得たいの知れない“美”のためだ。

あの大天使ミカエルと瓜二つだという地獄の皇帝。彼を数に入れたとしても、美貌侯は凌げまい。天界にすらあれほどの者はいなかった。
そう、噂される闇の使者。
時に寒気が走るほど冷酷で、しかし時に心を溶かすほどに甘美で。
切れ目もなく移ろうその色に惑う者は多かった。
おまけに気難しくてプライドが山より高い。
誰もの目を引きつけて止まない彼のことを慕う者は、もちろん数多くいる。部下からの信頼も厚く、居城を訪ね来る友人もいる。

だが、当然敵も多かった。




◆  ◇  ◆  ◇  ◆






「……閣下はどこへ?」

アンドレアルフースの居城には、一度入ったなら心を囚われて現に戻れなくなるという庭園──いや、花園があった。

荒れ果てた岩々が積み重なった丘の上にそびえる濃灰色の城。
眠りを知らぬ地獄の火炎によって焼かれて渦巻く、禍々しい赤の暗雲。稲妻走り雷鳴轟くその空へ、尖塔を突き刺す巨大な要塞。
暗く不気味な闇がわだかまる、不落の砦
(とりで)
そこに、“堕天の墓場”とも称される花園はあった。


温室のように隔絶されたそこは暖かな光が満ち溢れており、花々の合間から見上げた先には蒼空が広がり白雲が漂う。
禁句ゆえに口にする者はいないが、それはまるでかの天界を模した如く。

季節を無視して咲き乱れる名もなき花たち。
背丈も配色も考えなしの無秩序な野園。足元には白や紫、色とりどりの小さな花が揺れ、茂みという茂みは紅や白、黄色の薔薇が咲き誇る。歩けば背の高い黄色の花が頬をなで、陽光を散らす細かい白の花は陶酔と幻想を生む。
一歩足を踏み入れれば、花に囲まれた迷宮。
振り仰いだ花木からは桃色の花房が幾重にもしだれ、それを彩るようにからむ白花の蔓。
むせかえるような芳香が強くなり弱くなりして園を包み、どこから来たのか分からぬ放浪の蝶が、花から花へと渡り歩く。
誰かが造った小さな噴水では小鳥たちが水を飲み、飛沫を飛ばして羽を洗う。




「……あらら。スネてら」

黒の衣装に身を包んだ背の高い若者は、小さく肩をすくめて笑った。

かつては整然と手入れされていたのだろうか、その花園を愛でるために造られたと思われる一郭。
そこには、しだれ花木に囲まれるように置かれた二脚の長椅子があった。

それはまるで繚乱の花々に彩られた死者の寝台のようでもあり、夢へと誘う永遠のゆりかごのようでもあり。

そして彼の目的の男は、その中でフテ寝をしていた。

──城主、アンドレアルフース

均整のとれた長身を長椅子へ仰向けに投げ出し、花木の合間からこぼれる木漏れ日を避けるように、片腕でその双眸を覆い。
すべてを無へと吸い込む黒外套の軍服をまとい。
同じく漆黒の制帽を胸のあたりに放り捨て。

彼は地獄に堕ちただけでは飽き足らず、夢の中へまで堕ちようとしていた。
若者はつかつかと歩み寄り、両手に腰をあててその男を見下ろす。

「何やってんのさ。天下の参謀副長官殿がサボリかァ?」

「…………」

腕が額にずらされ、ゆっくりと双眸が開かれた。
袖に付けられた銀色の飾りボタンが陽光を反射し、鮮やかな紅の瞳が僅かに揺れる。
その男はしばし夢と現
(うつつ)を行き来して──、ようやく焦点が定まると、瞬時に柳眉が寄せられた。
開かれた唇からは美しい、しかし不機嫌なテノール。

「──お前、どこから入ってきた」

「入り口から」

若者は即答。

「…………」

相手はひとつ大きく息をついて顔を背けた。
語らない背中が向けられる。

「なぁ閣下〜。アンタ、とんでもないことやらかしたんだって?」

それでも構わず、若者は勧められてもいないのに、我が物顔でもうひとつの長椅子に腰をかける。

目の前にいる絶世の悪魔の軍に入れてほしくてしつこく嘆願しに来ているうちに、いつの間にか遠慮がなくなってしまったのだ。この城も、自分の家のようなもの。歩いていたって誰にも怒られない。
女中からはお茶だって出してもらえるし、軍の悪魔たちとはしょっちゅうカードをやって遊んでいる。

若者が堕天に話し掛けたのはアルフースが最初。
アルフースに声をかけた純粋な悪魔は、この若者が最初。
そんなこんなでもう20年近く、不思議な天秤にのった友達付き合いで交渉しているのに、この悪魔、なかなか頭が固くて承諾しない。


「少しばかり失言をしただけだ」

無視されるかと思ったが、無愛想な言葉が返ってきた。

「でも万魔殿
(パンデモニウム)じゃオオゴトになってるみたいだけど?」

「だろうな」

「だろうなって、アンタ……」

足を組み腕を組み、渋い声で迫ってやる。

「一体何やらかしてくれたんだ?」

「…………」

アルフースが緩慢な動作で空を見上げた。しばしの沈黙の後に、冴えた紅がこちらへ流され──また空へと戻る。
たったそれだけのことで、若者の背筋は戦慄に震えた。

「天を滅ぼしても無意味だと、そう取れる事を言った」

「……そりゃすごい」

元々悪魔は、地上を昏き
(くらき)混沌へと追いやるために存在していた。
そこへ天から堕とされた悪魔たちが加わり、皇帝を頂点とした地獄の軍団は“天界の滅亡”を掲げて絶えず天軍と戦い続けているのだ。
天界を滅ぼせば地上を黒く染め上げることもたやすい。裏切った神や、原初の約束を軽く破棄した天使を許すわけにはいかない。
そんな中にあって、

“天を滅ぼしても無意味”

その言葉は、過去現在未来を通じて、悪魔の存在を全否定したに等しくなる。
皇帝の耳にでも入ったのなら──……どうなることか、知れない。
そうでなくとも充分問題だが。


「ロネヴェに聞かれたのだ」

「げ」

「言葉を交わす間もなく、失言は大きくなってあらゆる方向へ波及した」

「最悪〜」

美貌伯ロネヴェ。侯爵アンドレアルフースよりは一階級下の、参謀官である。同じ“美貌”という冠がつけられていることが災いしてか、そいつはとにかくアルフースを敵視してくるのだ。
彼は冷ややかな美しさと利己に明晰な頭脳を持ち、常に赤い霧をまとっている。
外見はミステリアスで奥深げだが、度量の底は浅い。しかし悪魔としての素質は、あり余っていると言えよう。
標的にされるアルフースとしては迷惑千番なのだが……。

「ついてなかったねぇ〜!」

若者は金色の双眸を細め、黒髪を揺らして笑った。
どこからか吹く風が、あわせて花々を散らす。

「それでフテ寝してたってわけか。……弁解しに行きゃあいいのに」

「……もう遅い」

それは不思議な苦笑だった。
図星をつかれて困ったような、それでいて全てにカタをつけてあるような。

「遅かねぇよ。だってそうしなきゃアンタ何されるか分からないぜ? 殺されるかも」

「別に構わんがな。この身がどうなろうと、私の知ったことではない」

「構うだろーが!」

大音量に驚いて身を起こしかけた侯爵。
憧れの的とも言えるその制帽が、芝生へ落ちた。
通常なら率先して拾うところだが──今日は構わず大仰に指を突きつけ、若者は喚く。

「アンタが死んだら俺はどこへ行きゃあいいんだよ! 入る軍隊が解散しちまったら俺はどうすりゃいいんだよ! 無責任なこと言うな!」

「…………」

花木でさえずっていた小鳥が逃げ去った。
普段は凍れる切れ長の目。美貌侯のそれが、ぽかんと若者を見つめる。

「ごめんなさい、悪気はなかったんですって謝っときゃいいじゃねぇかよ! フォーカスのじぃさんは残酷無慈悲な冷徹漢だって聞いてるけどさ、話の分かる奴だとも聞いてるぜ? なぁ頼むよ〜。 アンタがいなくなると俺、コネを一気に失くすのな」

道化じみた仕草で座り込む若者。
上級悪魔でない証──金色の双眸に微笑を含ませて城主を見やる。
だがアルフースは起こしかけた身を元に戻し、ため息とともに言ってきた。

「フォーカス大公は分かってくれたとして、他はどうなる」

自尊心の人一倍強い悪魔だ。後ろ指を差されたまま、白い目で見られたまま宮仕えすることは、究極的に屈辱だろう。

「俺がひとりひとり弁解してやる」

「──フン」

侯爵得意の鼻にかけた嘲笑。

「そんなことは必要ない」

「…………」

若者が黙って見守る中、アルフースの手が伸びた。
純白の手袋をつけたまま、顔の上で揺れている花房を手折る。

「ルノ。──私はもう官に飽いた」

花を見つめる悪魔の眼差しに、暗い憂いがよぎった。
長い睫毛がゆっくりと上下して、そのうち閉ざされる。

「誰が何と思おうともういいのだ。利害得失、点数稼ぎ、蹴落とし合戦、そんなものにはもう飽きた」

飽きたんじゃない。
それは疲れたんだ。
若者は胸中でそうつぶやいたが、それを言って何になろう。

「言葉を重ねるだけ無駄というものよ。……天を滅したとて奥深い葛藤が消えるわけではないと、いや──実は葛藤が増すだけだと、皆どこかで怯えているのだろうに」


皇帝は神を敬い愛するが故に堕天した。
愛は憎しみに変わり、地獄は天地を滅ぼすものとして生まれた。
だが、その目的が達せられた時、何が残るのか。
堕天たちが愛し憎悪した、想うべきものは永遠に手の届かぬものとなるのだ。


アンドレアルフースの深い嘆息。

「殺め大地を血に染めるは我が至福。それは偽りなく本物だ。地上のものにも天上のものにも憐れみなど感じない。言ってしまえば、私の心をどこまで掘り下げようと神など慕ってもいない。だから天が滅びようが神が滅びようが、私は構わない。だが、──皇帝はどうだろうな? 密かに天を愛す者たちはどうだろうな?」

「…………」

「地獄は秩序をなくすだろう。結局は自ら、自分を崩壊させる道を選んできたのだと気がつくだろう。私が堕天を否定しなくとも、いずれ認めねばならぬ時が来る」

言って、彼は手にした花を投げ捨てた。

「どうして座礁すると分かっている船に乗ろう? どうして崩壊すると分かっている秩序に繋がれなければならない。……つまらん茶番のために我が身、我が翼を痛めるのは、もううんざりなのだ」

「うんざりって!」

立ち上がり声を上げた若者を、入る余地のない穏かな呪詛が制した。
どこか一点だけを見据える紅。

「このまま地位も名誉も命も力も捨ててしまったら、素晴らしく身軽だろうな」


“堕天の墓場”

ここがそう言われる所以。それは、この花園へ踏み込んだ堕天が天界への郷愁を抱きすぎて、堕天としての本性を失ってしまうからだ。天を、王の中の王を滅ぼそうという意志を失ってしまうからだ。
だが──このまま放っておいたら、文字どおりの墓場になりかねなかった。
死神が、城主を連れ去ってしまう。


「ふざけてんなよ?」

若者は無礼にも侯爵の胸倉を掴んで引き寄せた。
崇高なる悪魔は驚きもしないで、憮然
(ブゼン)とこちらを睨みつけてくる。

「そういうのってな、負けっていうんだぜ、世間様じゃあな。アンタが何て吠えようと、まわりの奴らは負けのレッテルを貼るんだ」

「名誉も捨てると言ったはずだが?」

どこぞの不良が美人さんにからんでいるようにしか見えないが、双方の凄みはこの花園をも色褪せさせた。

「なんで! なんで、アンタほどの力のある悪魔がなんでそうやって簡単に放り出すんだよ! アンタが死んだらアンタの部下はどうなる? 30個軍だぞ? この城のやつらはどうなる? 追い出されちまうかもしれねぇだろ? 俺はどうなる? 路頭に迷って死ぬかもしれないんだぜ?」

詰め寄られ怒鳴られるアルフースの表情は、変わらない。
霜の降りた目。
軽く真一文字に結ばれた唇。

「アンタはそれでいいかもしれねぇが、アンタの肩にはアンタが思ってる以上の命が乗ってるってことくらい自覚しろよな! 飽きたからって捨てられる重さじゃねぇぞ」

「私は悪魔だ」

「それがどうした!」

「他の者のことなど知らぬ」

「生憎
(あいにく)だがなぁ」

若者は軍服を掴む力を強め、意地悪くせせら笑う。

「アンタがそういう奴じゃないってことは俺、よく知ってんだ」

「それはお前の勝手な幻想に過ぎん」

「アンタ、処刑だの人知れず死ぬだの、そんな地味なことしてたら、満足できなくて絶対舞い戻ってくるぜ。似合わねぇって自分でも分かってるだろうが」

「…………」

目を細めた悪魔に、若者は更に畳み掛けて顔を近づけた。

「天が滅びて地獄が崩壊しても、アンタだけしぶとく生きてりゃいいじゃねぇか! 混乱してる奴ら尻目に地獄のっとるくらいのこと、アンタの頭と顔がありゃ出来るだろ。アンタが謙虚だなんて反吐が出るんだ。いいか、もっと自分に執着しろ! 逃げるな! 楽するな!」

罵るだけ罵って、若者は手を退け、アルフースを突き放した。
城主の白皙を睨みつけ続けていた目を横へと外し、さらにつぶやく。

「死ってのは考えれば考えるほど、口にすればするほど、近づいてくるもんなんだ。だから、想うのはやめろ。言うのもやめろ。アンタは殺す側でなけりゃいけない。殺される側じゃ駄目なんだ」

彼が口を閉じると、辺りは静寂に包まれた。
鳥の声もない、風が葉を揺らす音もしない、噴水の水音もしない。
ただ、白い綿毛が蒼空へ飛んでいった。
ゆっくりとした時間だけが流れ、園は罵声も怒号も聞いていなかったかのような顔を決め込んで。

ぽつねんと自分だけ取り残された気分になり、若者は落ち着きなく視線を彷徨わせる。
と、

「……何が可笑しいんだよ」

彼が見下ろせば、軍服の乱れを直し、長い足を颯爽と組んだ侯爵が、肩を小さく揺らして笑っていた。

「お前は、──面白いことを言う」

「はぁ?」

「くだらない奴にくだらない説教されて、私自身がバカバカしく思えてきた」

こちらを見上げてきたその相貌にもはや影はなく、怜悧な嫌味だけがのっている。
今までのは何だったんだともう一度胸倉掴んでガクガク揺すってやりたくなる、変貌。
知らぬうちに、剣呑としていた空気が高貴な凛気にすり替えられていた。

「くだらんことに時間を割き過ぎたな……」

天上天下唯我独尊。
奢り
(おごり)傲慢甚だしいが、誰も否定はできぬ美と力。

美貌侯、アンドレアルフース。
召喚士の尊ぶ悪魔紳士録に名を連ねる、72柱のひとり。

「フォーカス大公の赦しさえいただければ、私の勝ちということだな。文句を言う奴は端から潰してくれよう。──ロネヴェには痛い思いをさせてやる。私の足元にかしずかせてやる」

悪魔が薄い笑みを口の端に浮べた。
残虐な、楽しげな、危険な、微笑み。
そして侯爵は黒衣をひるがして立ち上がる。いつの間にか制帽もしっかり黒髪にのせられていた。
白い肌に映える妥協のない黒。
軍服の襟には、アンドレアルフース下の証である孔雀羽の白紋章。右肩には参謀副長官の証である肩章。

同性だろうが異性だろうが天使だろうが悪魔だろうが、ホレボレするような麗人がそこにいた。

臨戦態勢だ。

こういう姿を目の当たりにした時こそ、彼の部下は真に自らの指揮官を誇りに思うに違いない。
過大評価でなく、世界の最果てまでも我が主はこの人だけだと心に誓うのだ。
この者のためならば命も惜しくはないと、感じられるのだ。

優雅に数歩足を出したアルフースが、立ち止まり若者の方を向く。
深紅の薔薇を背に、彼は問うてきた。


「シェーラー・ルノ。私は出かけてくるが、お前はどうする」

「もう少しここにいよーっかな。お許しがいただけるのなら、ですがー」

「許可する」



シェーラー・ルノ。
それが若者の名であった。
堕天ではなく、もとから地獄に存在していた純粋な悪魔。黒髪に偽りなき金の双眸。アンドレアルフースに劣らぬ長身を持ち、彼より荒い気性を持ち。
彼の軍に志願する。

空きがないと渋るアルフースにつきまとい、性格もあいまって胸倉を掴める唯一の者となる。

それが、侯爵が手を焼く不良悪魔の全てだった。







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