あとがき 補足

 



これは二年程前にとあるサイト様の短編コンテストに参加させていただいた時に仕上げたものを、大幅に加筆修正したものでございます。
その節は「森羅万象」の鈴埜氏に大変お世話になりましたこと、ここで再度御礼申し上げます。

さて、今回のものは物語の展開は当時のものとほぼ同じですが、大きく設定を変え、「幻獣保護局 雪丸京介」と同じ舞台となっています。
そしておそらくお気づきの方も多いでしょうが、クロフォードが言う“あいつ”は保護局の役人、魔術師雪丸京介。題名の「雪の上の蒼」も、雪は雪丸、蒼はクロフォードを暗示しています。

過去の魔導師、現在の魔術師。どうあがいても魔導師の後を追うだけの強力な魔術師と、己が力による破滅の影に怯えながら身を隠しひっそりとしかし絶対的に君臨する魔導師。



コンテスト提出時は“真実”がお題のテーマだったのでこの言葉が多く出てきますが、普段はあまり使わない言葉ですよね。
使わない方がいいと思います。

あんな言い方をするのはクロフォードだけで、きっと多くの人が“真実”は隠されていた最後の札だと感じているのではないでしょうか。
事実と真実は違う。
そう考えるのは、人間がやはり詩的で叙情的な生き物の証明なのかもしれません。


ちなみに広辞苑より。

【事実】 1.〔史記(壮士伝)〕 事の真実。真実の事柄。本当の事柄。
2.〔哲〕本来、神によってなされたことを意味し、時間・空間内に見出される実在的な出来事、または存在。実在的なものでるから幻想・虚構・可能性と対立し、すでに在るものとして当為的なものと対立し、個体的・経験的なものであるから論理的必然性はなく、その反対を考えても矛盾しない。

【真実】 1.うそいつわりでない、本当のこと。まこと。
2.ほんとうに。全く。
3.〔仏〕 仮でないこと。究極のもの。絶対の真理。真如。


事実こそ真実である。
クロフォードが正しいのかも(笑)



Novels 雪丸京介トップへ Home     不二 香