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- 鍵。
それは閉ざされた扉を開くものであり、隠された財宝を奪うもの。
それは何かを守るためにあり、何かを裏切るためにある。
鍵。
少しばかり夢見な者の言葉では、それは隠蔽された世界をこじ開ける最速の法。
不可視にされた、もうひとつの時間を暴くもの。
その伝説は未完のまま、世界に埋もれた。
「始まりの鍵」「終焉の棺」
どこかに存在するのだと語られる、世界が創りし運命の遊具。
鍵が歴史から消えて幾百年。
伝説は子ども達の子守り歌となり、おとぎ話となり、空想の物語となった。
始まりの鍵を持ち、終焉の棺を開けた者はね──……。
だが、誰も伝説の最後を知らない。
誰もその物語を閉じることはできない。
「何を望む。何を知る。何を紡ぐ。何を――」
鍵に記されたよっつの言葉。
しかし最後の問いはない。誰も知らない。
そう。──伝説は未完。
しかし再び鍵は現われた。
再び、歴史の表へと。
過去の伝説は鍵を巡り、色鮮やかに甦る。
過去の憎悪は鍵を巡り、世界に甦る。
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